この記事は「Microsoft 365 Advent Calendar 2024」に参加しています。
16日目の記事です。
Teams デスクトップアプリに適用されるリリースオプションの挙動がおかしい?
Teamsデスクトップアプリのマルチアカウント機能が便利で多数のアカウントを使って切り替えているのですが、時々標準リリースのアカウントなのに指定対象リリースでしか展開されていない機能が有効になっていることがあり不審に思って検証してみました。

指定対象リリースとは?
Microsoft 365には「標準リリース(Standard Release)」「対象指定リリース(Targeted Release)」という2つのリリースオプションがあり、後者は、組織内の特定のユーザー(またはテナント全体)が一般リリースよりも早期に新機能や更新プログラムが展開されるようになる設定です。これにより、システム管理者は、新機能のテストや評価を行う事が出来るようになっています。
検証してみた
普段使っていてどうもTeamsアプリに1番目にサインインしたユーザーのリリースオプションが影響している印象があったので、3つのパターンでユーザーに指定対象リリースが適用された状態になっているのか検証を行いました。
指定対象リリースが有効になっているかの基準は下記2点としました。
- ⚙️→Teamsについてに「早期アクセスの方法 Targeted release」と表示されるか
-
- 新しいチャットとチャネルのエクスペリエンスが適用されるか(2024年12月時点では標準リリースには未展開)
の2つで確認を行っています。 以下検証内容です。長いので閉じました。
検証1
検証1
[テストユーザーのサインイン順]
- ユーザーA:指定対象リリース
- ユーザーB:標準リリース
- ユーザーC:標準リリース
[検証手順]
- Teamsアプリのキャッシュを削除する
- Teamsアプリに A→B→C の順でサインイン
- それぞれのアカウントに切り替えて下記の状態を確認する
- ⚙️→Teamsについてに「早期アクセスの方法 Targeted release」と表示されるか - 新しいチャットとチャネルのエクスペリエンスが適用されるか
[検証結果]
| ユーザーアカウント | Teamsについて | 新しいUI |
|---|---|---|
| ユーザーA:指定対象リリース | Targeted Release | Yes |
| ユーザーB:標準リリース | Targeted Release | Yes |
| ユーザーC:標準リリース | Targeted Release | Yes |
検証2
検証2
[テストユーザーのサインイン順]
- ユーザーB:標準リリース
- ユーザーC:指定対象リリース
- ユーザーD:指定対象リリース
[検証手順]
- Teamsアプリのキャッシュを削除する
- Teamsアプリに B→C→Dの順でサインイン
- それぞれのアカウントに切り替えて下記の状態を確認する
- ⚙️→Teamsについてに「早期アクセスの方法 Targeted release」と表示されるか - 新しいチャットとチャネルのエクスペリエンスが適用されるか
[検証結果]
| ユーザーアカウント | Teamsについて | 新しいUI |
|---|---|---|
| ユーザーB:標準リリース | リリースの表示なし(標準リリース) | No |
| ユーザーC:指定対象リリース | リリースの表示なし(標準リリース) | No |
| ユーザーD:標準リリース | リリースの表示なし(標準リリース) | No |
検証3
検証3
[テストユーザーのサインイン順]
- ユーザーA:指定対象リリース
- ユーザーB:標準リリース
- ユーザーC:指定対象リリース
- ユーザーD:標準リリース
[検証手順]
- Teamsアプリのキャッシュを削除する
- 下記の順にTeamsアプリに A→B→C→D の順でサインイン
- ユーザーDの下記の状態を確認する
- サインイン順にサインアウトを行い4の状態を確認する
- ⚙️→Teamsについてに「早期アクセスの方法 Targeted release」と表示されるか - 新しいチャットとチャネルのエクスペリエンスが適用されるか
[検証結果]
| ユーザーアカウント | Teamsについて | 新しいUI |
|---|---|---|
| 4アカウントでサインインした状態 | Targeted Release | Yes |
| ユーザーAをサインアウト | リリースの表示なし(標準リリース) | No |
| ユーザーBをサインアウト | Targeted Release | Yes |
| ユーザーCをサインアウト | リリースの表示なし(標準リリース) | No |
検証結果からの【仮説】
これらの検証結果から
- Teamsデスクトップアプリに一番最初にサインインしたアカウントのリリースオプションがその後サインインした全てのアカウントに適用される
- 一番古いアカウントをサインアウトすると次の古くサインインしたアカウントのリリースが適用される
……と推測していたのですが、その後サポートに問い合わせてみた結果返ってきたのは若干異なる回答でした。
サポートに問い合わせてみた
あくまで検証の結果というものですが下記のような動作をしているとの回答をいただきました。
- Teams に最初にサインインしたアカウントのリリースオプションが、「Teamsについて」に表示される
- 1番目に指定対象リリースのユーザーでサインインした場合(検証1の条件)は,2人目以降のユーザーでも「Teamsについて」に"Targeted Release"と表示されるものの機能はしない
- 1番目に標準リリースのユーザーでサインインした場合(検証2の条件)は、2人目以降のユーザーに指定対象リリースのアカウントでサインしていても「Teamsについて」に"Targeted Release"と表示されず、指定対象リリースの機能は使えない
これが現時点の仕様とのことです。 (私の検証結果と若干差異があるのはキャッシュ等の影響があるのかもしれないとのことでした)
この事象に関するフィードバック
※この事象に関するフィードバックがfeedback portalに掲載されています。ぜひVoteをお願いします。 「 Improved anomalous behavior of release channels applied to the Microsoft Teams desktop 」
さいごに
Teams デスクトップアプリのマルチアカウント機能で指定対象リリースのユーザーを利用されている方は、ユーザーに指定しているリリースと異なる動作をする可能性があるという点を考慮頂いた方が良いかもしれません。
※上記の私の検証はWindowsのデスクトップアプリで行いましたが、macのデスクトップアプリでも同様の挙動を示しているようです

