ささみ学習帳 - sasami's study book

ささみ学習帳

Microsoft365 や Power Platform について学んだこと・アイデアのメモ

Teams 会議の明示的な記録同意機能を動作確認してみた

Teams 会議に明示的な記録同意を求める事ができる機能が追加されたので、動作を確認してみました。

 

 

Teams 会議の明示的な記録同意とは

メッセージセンターNo「MC523053」ロードマップID「107781」の機能です。正式な機能名称がはっきりしないので、メッセージセンターの日本語訳の「Teams 会議の明示的な記録同意 (Explicit Recording Consent for Teams Meetings)」としています。

メッセージセンターのメッセージを要約するとこんな感じです。

  • このポリシー適用されたユーザーによって作成されたTeams会議は、すべての参加者に記録(会議レコーディング)の明示的な同意を要求します。
  • (レコーディングを開始すると)ユーザーが同意する前に、会議中に音声、ビデオ、および画面共有/コンテンツ共有が無効になります。これにより、オーディオ、ビデオ、および画面共有/コンテンツ共有が記録されなくなります。 
  • 参加者の同意はログに記録され、出席レポートの一部としてアクセスできます。
  • 対応プラットフォームは Android, デスクトップ, iOS, Mac, Web

 

機能を有効化する

2023年8月現在、既定で無効になっています。

Teams 会議ポリシーで設定を行いますが、まだTeams管理センターでは設定できませんでした(間も無くサポートされるようになるようです)。

その為現時点では Powershell で有効化する必要があります。

設定にはMicrosoftTeams Powershell モジュールが必要です。モジュールをインストールした後に、適切な管理者権限があるユーザーで実施してください。
(モジュールのバージョンが古い場合はアップデートが必要です)

#管理権限があるアカウントでサインイン
Connect-MicrosoftTeams

#レコーディングの明示的な同意を有効にする # "Global"=グローバル(組織全体の既定値) Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "Global" -ExplicitRecordingConsent "Enabled"

#コマンド実行後に切断
Disconnect-MicrosoftTeams

上記はグローバル(組織全体の既定値)ポリシーを変更する例です。別途会議ポリシーを作成し( -Identity "xxxx")と指定して有効化する事でポリシーを割り当てた任意のユーザーのみに機能を有効化する事も可能です。

このポリシーが反映されるには、他の会議ポリシーと同じく数時間かかりました。すぐに反映されるものではありませんので注意が必要です。

現在の設定状態を確認するには

#管理権限があるアカウントでサインイン
Connect-MicrosoftTeams

#現在の状態を確認する
Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "Global" | Select-Object "ExplicitRecordingConsent"

無効化するには

#管理権限があるアカウントでサインイン
Connect-MicrosoftTeams

#レコーディングの明示的な同意を無効にする Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "Global" -ExplicitRecordingConsent "Disabled"

 

 

実際の動作

会議開催後にレコーディングを開始すると…

ポリシーを適用したユーザーで会議を開催し、誰かがレコーディングを開始するとこのようなダイアログが表示されます。「続行」するとすべての会議参加者は一旦、カメラはオフ、アバターもオフ、画面・コンテンツ共有も停止、マイクはミュートになります。

プライバシーポリシーのリンク先はこちらになっていました。

https://go.microsoft.com/fwlink/p/?linkid=857875

ポリシー文書を変更するといった機能は提供されていないようです。

 

レコーディングが開始されると……

レコーディング操作した以外の人の画面にはこのようにポップアップします。

  • ミュート解除
  • カメラオン
  • 画面を共有

いずれかの操作をすると次のようなダイアログが表示されます。

 

自動的にレコーディングの会議やレコーディング開始済の会議に参加するときは

会議オプションで「自動的にレコード」を有効化した会議では、会議に参加した時点でレコーディングが開始されますので、こちらの画面からポップアップで同意が必要なことが示されます。カメラやマイクをオンにすると同意ダイアログが表示されます。レコーディング開始済みの会議に参加する場合も同様です。

 

一旦会議から退出し再度会議に参加すると?

回線トラブルなどで会議から一時的に退出し、会議に参加しなおす事もあるかと思います。その場合は、再度同意操作が必要になるようです。

 

VDI環境のTeamsデスクトップアプリの場合は?

対応プラットフォームに明示されていませんが、VMware Horizon環境では通常PCのデスクトップアプリと同様に機能することを確認しました!(Teamsメディア最適化on/offどちらもok)

 

モバイルアプリの場合は?

モバイルアプリでもデスクトップと同様にポップアップ表示されました。

 

レコーディングに同意しない人はどうなる?

同意しないまま放置した人が居ても、録画は開始されます。

同意しないユーザーの画面にも、画面共有やカメラ映像は表示されますし、音声も聞こえます。会議にいるだけで発言しない人は何も操作する必要はなさそうです。

あくまで同意した人の発言やカメラ映像・アバターや共有コンテンツが録画されるという制御で、全員が同意しないとレコーディングが始められない!といった事態にはならないようなのは安心ですね。

また、レコーディングに同意しなくても参加者には表示されますし、チャットで発言する事は可能です。

 

ポリシーを適用したユーザーが主催した会議はすべて明示的な同意がオンになる

会議単位ごとに明示的な同意機能のオンオフするといった使い方は想定されていないようです。すべての会議で同意が必要な設定に変わります。

 

会議出席者レポートに同意した日時が記録される

会議の出席者がレコーディングに同意した日時は、会議出席者レポートで確認する事が出来ます。

 

Microsoft Teams で会議出席レポートを管理する - Microsoft サポート

 

会議中に「出席者リストをダウンロード」した場合は、私の環境では何も出力されませんでした。

 

 

 

制限事項

出席レポートを無効化しているユーザーは同意ができなくなる

Teamsの設定「出席レポートで自分を識別する」をオフにしているユーザーは記録同意に同意する事ができません。

また、会議ポリシーで出席レポートを無効化している場合も同様です。

 

一部のデバイスでは対応できていない

古いバージョンのクライアントアプリやCarplayは記録同意に対応していない事がメッセージセンターで明言されています。前者についてはバージョンアップで対応できますが、後者については今後の気の拡充を待つしかありません。

 

確認できた不具合

Teams会議に参加する際に、"エフェクトとアバター"をクリックすると以後会議ウィンドウが操作不能になる不具合があるようです。

明示的な記録同意機能に同意しないと使えないはずのアバターがオンにできてしまうためかと思われます...

 

ざっくりまとめると

  • 現時点では既定で無効化されておりPowershellで有効化する必要がある
  • ポリシーが有効なユーザーが作成した会議すべてで同機能が有効になる
  • レコーディングに同意しないと、カメラ・マイク・アバター・画面・コンテンツ共有が強制オフになる
  • 出席レポートに同意した日時が記録される(出席レポートを無効化していると同意できなくなる)
  • 明示されていないがVDI(VMware Horizon)環境のデスクトップアプリも対応している

 

さいごに

会議の明示的な記録同意という文字の印象に反して、会議で発表・発言する際に自然と同意が求められるスマートな形となっていました。この形であれば既定でOnになっても何か変わったねー程度のインパクトで済むような印象です。

一方でカメラ・発言・発表(画面共有)する内容のレコーディングの同意という位置づけで、同意しなくてもチャットで発言する事は出来ますし、画面共有にTeamsウィンドウが映ればレコーディング内容に残るという点には会議レコーディングに完全に残らないものを期待されていた場合には注意が必要かもしれません。