Outlook メールの下書きをPower Automate クラウドフローで作成する

はじめに
考え方
1.新規メールの下書きを作成する
2.返信の下書きを作成する
3.全員に返信する下書きを作成する
- フロー解説
  - [Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-全員返信の下書きを作成
- 実行結果
4.転送の下書きを作成する
- フロー解説
  - [Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-転送の下書きを作成
- 実行結果
5.下書きメールにファイルを添付する
参考にしたページ
さいごに

はじめに

Power Automate クラウドフローでOutlook メールの下書きを作成する方法です。

考え方

Power Automate のOffice 365 Outlook コネクタには下書きメールを作成するアクションは用意されていませんが「HTTP 要求を送信します」アクションを使ってGraph APIを呼び出すことで作成することが可能です。

新規メールの下書き
返信するメールの下書き
全員に返信するメールの下書き
転送するメールの下書き
下書きメールにファイルを添付する

のパターンを確認してみました。

1.新規メールの下書きを作成する

Graph API の「メッセージを作成する」を利用します。

learn.microsoft.com

フロー全体

１アクションだけです。

フロー解説

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-下書きメールを作成

URI
- https://graph.microsoft.com/v1.0/me/messages
メソッド
- POST

本文

下書き保存するメッセージをJSONで指定します。
一例は件名,本文,to,cc,bccを指定するとこんな感じです。

{
    "subject": "メールの下書きを作成するよ",
    "body": {
        "contentType": "HTML",
        "content": "<p>メッセージの本文です</p><p>テスト</p><p>なのです。</p>"
    },
    "toRecipients": [
        {
            "emailAddress": {
                "name": "strike",
                "address": "GAT-X105@seed-dummy.onmicrosoft.com"
            }
        },
        {
            "emailAddress": {
                "name": "rouge",
                "address": "MBF-02@seed-dummy.onmicrosoft.com"
            }
        }
    ],
    "ccRecipients": [
        {
            "emailAddress": {
                "name": "freedom",
                "address": "ZGMF-X10A@seed-dummy.onmicrosoft.com"
            }
        },
        {
            "emailAddress": {
                "name" : "strike freedom",
                "address": "ZGMF-X20A@seed-dummy.onmicrosoft.com"
            }
        }
    ],
    "bccRecipients": [
        {
            "emailAddress": {
                "name": "rising freedom",
                "address": "STTS-909@seed-dummy.onmicrosoft.com"
            }
        }
    ]
}

subject
- 件名
body
- contentType
  - HTML , Text ←本文の形式を指定
- content
  - 本文を記述。(Textの場合は\nで改行)
toRecipients
- emailAddress ※複数指定可
  - name
    - 宛先(To)の表示名(省略可能)
  - address
    - 宛先(To)のメールアドレス
ccRecipients
- emailAddress ※複数指定可
  - name
    - ccの表示名(省略可能)
  - address
    - ccのメールアドレス
bccRecipients
- emailAddress ※複数指定可
  - name
    - bccの表示名(省略可能)
  - address
    - bccのメールアドレス

その他設定可能な属性はこちらに記載されています。
- learn.microsoft.com

実行結果

メールの下書きが作成されます。

2.返信の下書きを作成する

返信の場合は、下書きメッセージの作成→メッセージの更新の2ステップになります。

Graph API の「返信メッセージの作成(createReply)」でメールを作成したのちに、「メッセージを更新する」でメッセージの中身を更新しています。

learn.microsoft.com

フロー全体図

フロー解説

[Data Operation]作成-元メッセージのId

返信するメールのメッセージidが必要です。Office 365 Outlook コネクタのメールを取得する(V3)アクションなどの出力に含まれているものが利用できます。

今回はサンプルフローの為、作成アクションにidを直接格納しています。

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-返信の下書きを作成

URI
- https://graph.microsoft.com/v1.0/me/messages/{メッセージId}/createReply
メソッド
- POST
コンテンツの種類
- application/json

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-返信の下書きメールを更新

作成した下書きメールを更新します。

URI
- https://graph.microsoft.com/v1.0/me/messages/@{body('HTTP_要求を送信します-返信の下書きを作成')?['id']}
メソッド
- PATCH
コンテンツの種類
- application/json
本文
- メッセージをJSONで指定します
- 一例はこんな感じ
- ```
{
 "body": {
 "contentType":"HTML",
 "content":"<p>やあ 元気かい？</p><p>これはテストメールなんだ</p>"
 }
}
```
- 新規メールの下書きの場合と同じです
- その他設定可能な属性はこちらに記載されています。
  - learn.microsoft.com

実行結果

返信メールの下書きが作成されます。

3.全員に返信する下書きを作成する

元メールのTo,CCの全員に返信する下書きを作成することも可能です。

「2.返信メールの下書きを作成する」の場合とほぼ同じです。

「[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-返信の下書きを作成」アクションを下記に変更するだけです。URI以外のパラメータは共通です。

learn.microsoft.com

フロー解説

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-全員返信の下書きを作成

URI
- https://graph.microsoft.com/v1.0/me/messages/@{outputs('作成-元メールのid')}/createReplyAll
メソッド
- POST
コンテンツの種類
- application/json

実行結果

4.転送の下書きを作成する

元メールを転送する下書きを作成することも可能です。

元メールのTo,CCの全員に返信する下書きを作成することも可能です。

「2.返信メールの下書きを作成する」の場合とほぼ同じです。

「[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-返信の下書きを作成」アクションを下記に変更するだけです。URI以外のパラメータは共通です。

learn.microsoft.com

フロー解説

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-転送の下書きを作成

URI
- https://graph.microsoft.com/v1.0/me/messages/@{outputs('作成-元メールのid')}/createForward
メソッド
- POST
コンテンツの種類
- application/json

実行結果

5.下書きメールにファイルを添付する

下書きメールにファイルを添付することも可能です。

(新規/返信/転送)下書きメールを作成
ファイルをOneDrive for Businessから取得
ファイルに添付

の3ステップとなります。

フロー全体図

Onedrive for Business上のファイルを添付するイメージです。

フロー解説

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-下書きメールを作成

まず添付ファイル無しの下書きメールを作成します。

[OneDrive for Business]パスによるファイルコンテンツの取得-添付ファイル

OneDrive for Business 常にあるファイルのコンテンツを取得します。

ファイルパス
- 添付するファイルのパス
コンテンツタイプの推測
- はい

[Variable]変数を初期化する-FileName

添付するファイルのファイル名です。

Name
- FileName
Type
- String
Value
- ```
last(
    split(
        actions('パスによるファイル_コンテンツの取得-添付ファイル')['inputs']['parameters']?['path'],
        '/'
    )
)
```
- actions関数で"パスによるファイルコンテンツの取得-添付ファイル"アクションに設定したファイルパスのパラメーターからファイル名を取得しています。

[Office 365 Outlook]HTTP 要求を送信します-ファイルを添付する

URI
- a
メソッド
- POST
コンテンツの種類
- application/json

本文

base64関数でエンコードして渡す

{
  "@odata.type": "#microsoft.graph.fileAttachment",
  "name": "@{variables('FileName')}",
  "contentBytes": "@{base64(body('パスによるファイル_コンテンツの取得-添付ファイル'))}"
}

実行結果

ファイルが添付された下書きメールが作成されます。

参考にしたページ

actions関数について学ばせていただきました。わたるふさんいつもありがとうございます。

wataruf.hatenablog.com

公式リファレンスのチェックは必須です。

learn.microsoft.com

さいごに

メール作成系のGraph APIが[Office 365 Outlook] コネクタの「HTTP要求を送信します」アクションで使えることを確認しただけですが、備忘録的にまとめてみました。

ささみ学習帳

Microsoft365 や Power Platform について学んだこと・アイデアのメモ

Outlook メールの下書きをPower Automate クラウドフローで作成する

はじめに