はじめに
2024年9月16日(米国時間)に Microsoft 365 Copilot Wave 2 が発表されました。これと同時期に、Copilot (旧Bing Chat Enterprise / 商用データ保護を備えたCopilot)にもいくつかの大きな変更が加えられています。
今回はCopilot (旧Bing Chat Enterprise / 商用データ保護を備えたCopilot)のアップデート内容のうち、個人的に気になったポイントを整理してみました。
※以降注記無く”Copilot”と記載してある場合、"Bing Chat Enterprise" , "商用データ保護を備えたCopilot"と呼ばれていたCopilotを指します。
※2024/10/7追記
Copilot on WIndowsに関する変更点を確認したので追記しました。
- はじめに
- Copilot (旧Bing Chat Enterprise / 商用データ保護を備えたCopilot) の主な変更点
- Copilot in Edge の変更点
- モバイルアプリの変更点
- Copilot on WIndows の変更点
- 参考にしたページ
- さいごに
Copilot (旧Bing Chat Enterprise / 商用データ保護を備えたCopilot) の主な変更点
名称の変更
従来Bing Chat Enterprise → 商用データ保護を備えたCopilotと名前を変えてきましたが、「Microsoft Copilot」に改められたようです。
ただ、「データ保護を備えたCopilot 」と表記されたページや「Copilot chat (web)」と表記されているページもありどれが正式な名称は不明です。
商用データ保護からエンタープライズデータ保護に変更
Microsoft 365 Copilot と同等のデータ保護が適用されるように変わりました。
ざっくりまとめると下表のような感じです。
アクセスポイント(URL)の変更
従来は https://bing.com/chat または https://copilot.microsoft.com とアナウンスされていましたが、 https://microsoft.com/chat に変更となっています。
https://microsoft.com/chat にアクセスすると下図のようにリダイレクトされます。
従来のURLからもアクセス可能です。Entraアカウント(職場または学校アカウント)でサインインするとどこからアクセスしても *.cloud.microsoft にリダイレクトされるようになっています。
また、Microsoft 365 ホームからのアクセスの為か https://office.com/chat , https://microsoft365.com/chat からもアクセスできます。
Microsoft 365 からのアクセス性の改善
ライセンス的にはMicrosoft 365 の一部として提供されていたCopilot ですが、これまでMicrosoft 365 からの導線がありませんでした。
Microsoft 365 ホーム → アプリ のトップにCopilotが追加されています。
また、アプリバーへのピン留めもできるようになっています。こちらは任意ですが、管理者がMicrosoft 365 管理センターで制御することもできるようになっています。
Microsoft 365 ホームの検索バーからCopilotを検索してアクセスすることもできます。
アプリ起動ツールには2024年10月4日時点では存在していませんでした。
Outlook, Teams にもCopilot アイコンが後日表示されるようになることも発表されています。Microsoft 365 Copilot 利用者と同じ位置に表示されるようです。
- Outlook
- アプリバー
- Teams
- チャットリストの最上部
UIの変更
Microsoft 365 Copilot の Biz Chat (旧Microsoft 365 チャット) に近いUIに刷新されました。エンタープライズデータ保護になった関係から、チャット履歴が利用可能になっています。
廃止される機能
2つの機能が廃止されています。
- ノートブック
- トーンセレクター
使えなくなったが復活が予告されている機能
※()は公開されている再登場時期
画像のアップロード(2024年Q4)・音声入力と読み上げ(未定)
テキストボックスにあった画像アップロード・音声入力が削除されています。
リッチなウェブ回答(未定)
株価や天気の回答の場合に表示されていたものが表示されなくなっています。
エクスポート(未定)
応答内容をエクスポートする機能が無くなっています。
データ分析 (2024年Q4)
使ったことがなく確認できていませんが、Pythonを利用したデータ分析が使えなくなっています。
※↓のようにエラーとして表示されたことがあるこれのこと?
【管理面】サービスプランが廃止されすべてのEntraアカウントで利用可能に
"Microsoft Copilot の商用データ保護" サービス プランが廃止され、すべてのEntraアカウント(職場または学校アカウント) でエンタープライズデータ保護を備えたCopilotが利用できることになりました。
Copilot Pages 提供予定
Microsoft 365 Copilot Wave 2 で発表されたCopilot Pages は、Microsoft 365 Copilot ライセンスを持っていない、Microsoft 365 ユーザーにも展開されることが発表されています。
Copilot in Edge の変更点
UIの変化
Copilot と統一感のあるUIに変わっています。
サインイン方法の変更
従来 Copilot in Edge にEntraアカウント(職場または学校アカウント)でサインインするためには、 https://bing.com でサインインする必要がありました。
新しい手順として、Edge (の職場プロファイル)にログインすることで、Copilot in Edge でエンタープライズデータ保護が有効となります。つまり、Edge の個人/職場プロファイルの切り替えでCopilot in Edge の機能を明確に切り替えることができるようになっています。
一方で、現時点では以前からの bing.com にサインインする方法でもエンタープライズデータ保護を有効化できることも確認できました。
また、従来はCopilot in Edge のサインインリンクからサインインできるのはMicrosoftアカウントのみでしたが、これが改善されEntraアカウント(職場または学校アカウント)でサインインするできるようになっています。
廃止された機能 - 作成
Copilot で廃止された・一時的に利用できなくなった機能は、Copilot in Edge でも同様です。加えて、Copilot in Edge では[作成]機能も廃止となっています。
しばらく使えない機能
※()は公開されている再登場時期
表示しているWebページ/PDFファイルの概要作成 (2024年Q4)
表示しているWebページ/PDFファイルを参照して応答する機能が使えなくなっています。下図赤枠のサジェストが無くなっただけでなく、プロンプトで指示しても無効です。
※スクリーンショットはMicrosoftアカウントでサインインしたCopilot in Edge です。
書き換える (2025年Q1)
モバイルアプリの変更点
Edge モバイルアプリの Copilot ボタン廃止
Copilot アプリが Microsoft アカウント専用に
Copilot アプリは、Copilot Voice, Copilot Diary 等の新機能に対応したバージョンアップが行われています。ですが、Microsoft アカウントでのみ利用可能なアプリに生まれ変わっています。Entraアカウントでサインインを行うと、Microsoft 365 アプリに切り替えるよう案内されます。
Microsoft 365 アプリ
Copilot と統一感のあるUIに変わっています。
Copilot on WIndows の変更点
Copilot on Windows (単体アプリ化したもの)にも、今回のアップデートは影響があります。
Copilot on Windows(Copilot アプリ)は Microsoft アカウント専用に
Copilot アプリは、Entraアカウントでもサインインすることができますが、下図のように表示されて利用できなくなりました。[Copilot for work]ボタンをクリックすると、WebブラウザでCopilotが開かれます。
今後は
がCopilot on Windows のエクスペリエンスとなるようです。
Entraアカウント(職場または学校アカウント)でPCにサインインするユーザーの場合は、
- 既定でMicrosoft 365 アプリがタスクバーにピン留めされる
- Microsoft 365 Copilot ユーザーの場合はMicrosoft 365 アプリのアプリバーにCopilotがピン留めされる
- Microsoft 365 Copilot ユーザーでない場合は
- 既定ではMicrosoft 365 アプリにサインインするとピン留めするか確認される
- 管理者がMicrosoft 365 管理センターで制御することもできる
- 既定ではMicrosoft 365 アプリにサインインするとピン留めするか確認される
Entra Join を構成していなかったりHybrid Entra Join 構成でログインしているPCの場合はオンプレActive Directory ドメインのアカウントでログインになるでしょうし、ローカルアカウントでPCにログインしているケースもあるかと思いますが、そういったケースの動作については公開情報には言及されていませんでした。(環境が用意出来次第また確認したいと思います。)
また、最近のPCに搭載され始めているCopilot キー を押したときに既定ではCopilotアプリが起動するとなっていたはずですが、Entraアカウントで利用する場合の整合性をどうとっていくのかも現時点では確認できていません。
参考にしたページ
さいごに
今回のアップデートで起きたことはこんな印象を持ちました。
- 個人向け/法人向けCopilotの明確な線引き
- Microsoft 365 Copilot との親和性向上
- Copilot in Edge の一時的な機能無効化つらい
- 無くなってわかるありがたみ